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実は危険だった?羽生選手の激突事件!「根性」を褒めるのは正しいのか?

11月8日に行われた『フィギュアスケートのGPシリーズ』。大勢の人の注目を集めるフィギュアの大会ですが、今回、特に注目を集めたのは羽生結弦選手ではないでしょうか。

練習中、中国の選手と正面衝突して転倒、リンクに倒れこんでしまった羽生選手。「このまま棄権するのではないか?」と、誰もが思ったはずです。

ところが、倒れてから約10分後、なんと羽生選手は再び氷上に姿をあらわしました。

練習を続け、その後の本番にも登場。トラブルの影響か、何度も転倒を繰り返しつつも、諦めること無く懸命に立ち上がり、最後まで演じきりました。
倒れても、倒れても、何度も立ち上がる「不屈の精神」に、大勢の方が感動と、勇気をもらったのではないかと思います。

ところが、そんな羽生選手の姿を見て、『目を疑う光景であった』と、驚きをもって批判している人々もいます。それは、スポーツドクターの方々です。

名古屋大学大学院の内田准教授が、Yahoo!ニュースにコメントを寄せています。その一部を引用してご紹介します。

『…羽生結弦選手の事故が起きた。それは端的にいうと、(脳震盪であったとすれば)その事後対応は、多くのスポーツドクターが目を疑う光景であったといってよい。
…(中略)…脳震盪の症状があらわれた場合には、試合を続行してはならないという考えがスポーツ医学の常識となったからである。…(中略)…仮に羽生選手が脳震盪であったとすれば、羽生選手は、医師の管理下にあったと考えられるため、それでも「受傷後最低24時間」は安静にすべきだった。』

羽生選手に「感動」するだけでよいのか? 誤ったスポーツ観が選手「生命」を奪う 脳震盪後、1日は安静に
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20141109-00040588/

転倒事故により倒れてしまったにも関わらず、練習・本番の出場をやめなかった羽生選手。
この判断は、一歩間違えれば“死に至りかねない”事故対応だった…という指摘です。

こうした指摘を受けて、あなたはどう感じましたか?

「転んだぐらいで大袈裟な…」と思ったでしょうか?それとも、「感動にケチをつけるのか!」と不快感を覚えたでしょうか。

確かに、自分の身体をもかえりみず、困難なコンディションの中で本番に挑んだ羽生選手の姿は、とても感動的でした。

これは、非常に難しい問題だと私は思います。

「絶対に諦めない」というプロ精神を垣間見たようにも思います。ですが、安易に感動してしまって良いのか、しっかり考えてみる必要もありそうです。

スポーツやトレーニングの世界には、「精神を鍛える」という言葉もありますね。「つらい練習に耐え、身体がきつくても頑張り続けることで、精神力が鍛えられる…」といった意味合いです。
少し古風な言い方をすれば、「気合」「根性」とも言えるでしょうか。

確かに大切な精神だと、私も思います。ですが、この考え方が行き過ぎて、“安全軽視”になってしまうことは、絶対に避けなければいけないでしょう。

無理がたたって、二度と競技できない身体になってしまったり、重大な後遺症が残ったり…。最悪の場合、死に至ることもあります。そうした悲惨な結果だけは、絶対に避けなければいけません。

だからこそ、私たち一人一人の“スポーツの見方”も変えていくべきではないでしょうか?

『羽生選手、頑張ってえらい!感動した!』という気持ちも大切ですが、「本当に出場して大丈夫だったのか?コーチは無理を言ってでも棄権させるべきではなかったのか?」と、疑問を持つことも必要です。

私達一人一人が安全意識を高めていくことで、悲惨なスポーツ事故や、危険な事故対応が減っていくのだと思います。

そしてもうひとつ、今回の羽生選手の事故は、マスコミの報道にも疑いを持つべきだと言えるでしょう。

安全を軽んじて、気合や根性で戦う選手たちの姿に、私達は感動し、拍手喝采を送ります。また、そうした感動を、マスコミも大いに盛り上げます。

今回の羽生選手についての報道も、「頑張った、よくやった、感動した」という論調ばかりが目立つ一方、「実は非常に危険だったのではないか?」という指摘は、テレビではほとんど見かけませんでした。

マスコミの煽る「安易な感動」に乗せられてしまうと、スポーツの安全に対する意識も、なかなか高まりません。

自分がスポーツやトレーニングをするときも、「今日は体調が悪いからやめておこう」といった判断ができなくなり、無理を押して頑張ってしまい、事故につながる危険性もあります。

スポーツは、私達にとって身近な存在です。

健康のためにジムに通っている方や、お子さんがスポーツクラブで活動されている方、ご家族が何か運動をされている方なども多いでしょう。だからこそ、安全の問題は、私たちにも“他人事”ではありません。

「無理をして頑張る姿は、感動的で素晴らしい」という価値観も大切ですが、そうしたスポーツ報道に踊らされることなく、生命や健康を第一に守っていきたいですね。

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