×

冬の運動は危険?知っておくべき「寒さ」のリスク…こんな人は危険!

寒い冬。ついつい部屋にこもりがちになり、運動不足になってしまう人も多いですよね。
ハッと気がついて、「やばい、運動しなきゃ太る!」と、いそいそと走りに出かける…。そんな経験のある方も、少なくないと思います。

街を見れば、早朝、深夜、ジャージ姿でマラソンをする人たちも。寒い中だからこそ、頑張って運動することで、「自分を鍛えている」実感があります。

ところが…実は、冬場の野外での運動には、健康上の重大なリスクがあるんです。

“冬は寒さによって血管が収縮し、血液の流れが悪くなったり、血圧が上がるために心筋梗塞や脳卒中が起こりやすくなります。
高血圧、高血糖、脂質異常などにより動脈硬化が進んでいる場合は特に起こりやすい状態になっていますので、注意が必要です。”

これは、福岡市健康課健康推進係の発表した、市民向けの注意の一文です。福岡市のみならず、北海道など、全国の自治体…特に冬場の冷え込みが厳しい地域…が、同様の注意を促しています。

冬の運動が含む、知られざる危険性を探ってみました。

冬の運動は、心筋梗塞や脳卒中の危険がある?

ここで、中学校の理科の授業を思い出してみましょう。「人間を含む哺乳類の身体には、体温を維持する機能が備わってる」という話を、習ったはずです。
外の気温が高くなっても低くなっても、自分の体温は一定の範囲に保てるよう、さまざまな機能が備わっているんです。

その中の一つ、寒さへの対策として身体が行うのが、「血管の収縮」です。
血管を縮めることで、血流量を減少させ、体温が外に逃げないようにするんですね。
(もちろん、これは無意識に起こる身体の反応です。ですから、自分でコントロールすることはできません。)

ところが、血管が収縮すると、いろいろな弊害も起きてしまいます。最も危険なのは、「血管がつまりやすくなる」ということです。心臓の血管が詰まれば心筋梗塞に、脳の血管が詰まれば脳卒中になってしまいます。

どちらも、すぐに死に直結する、大変危険な症状です。

もちろん寒い中でも、ただ普通にしているだけでは、こうした危険はほとんどありません。ただし、運動するとなれば、話は別です。

運動中は、酸素を多く消費するため、たくさんの酸素を運ぼうと、血流量が多くなります。
ただでさえ狭くなっている血管に、たくさんの血液が流れるので、余計につまりやすくなってしまうんです。

だから、冬の野外での運動は、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まると言われているんですね。

こんな人は特に危険!冬の運動で倒れかねない人の特徴とは?

寒い季節は、血管が収縮するため、運動時の脳卒中、心筋梗塞のリスクが高まります。
とはいえ、全ての人が危険になるとは限りません。
仮にそうであれば、ウィンタースポーツなど夢のまた夢、冬季オリンピックなんて言語道断、となってしまいますよね。

言い換えれば、プロのアスリートなど、スポーツ医学に基づいたトレーニングと身体作りをしている人であれば、冬の屋外での運動もさほど問題ない…ということでしょうか。
それでも、“まったくリスクがない”というワケではないと思いますが…。少なくとも、準備や対策をしていない人に比べれば、遥かに安全なのでしょう。

一方、一般の私たちは、寒い中で運動をするための身体作りも、スポーツ医学に基づいたトレーニングもしていません。
まっさらな、普通の状態です。アスリートとは、身体の作りが全然違いますよね。
「アスリートがウィンタースポーツをしているから、ちょっと寒い中でのマラソンぐらい大丈夫」
…と思っていると、取り返しのつかない結果を招くことにも、なりかねないでしょう。

特に、次の条件に当てはまる方は、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。

・肥満の方
    肥満体型の方の場合、血中コレステロール値が高くなっているケースが多くなります。
    血中コレステロールは、血管をつまらせてしまう物質の一つです。
    冬の屋外運動の危険は、かなり高くなるでしょう。

・普段、運動をしていない方
    運動習慣のない身体に、急に負荷をかけることは、ただでさえ危険だと言われています。
    まして、寒さの厳しい冬の屋外で、不慣れな運動をしようものなら、余計に危険性は高まるでしょう。

・高血圧、高血糖の方
    こうした症状を診断されている方は、「急激な運動は控えるように」と、医師から必ず指導を受けているはずです。
    冬は血管の収縮が起きるため、軽い運動でも、「急激な運動」のように大きな負荷が掛かります。

厳しい寒さに身を晒すことで、「頑張っている手応え」が感じられるのも事実です。ですが、その安易な手応えのために、生命を危険に晒してはいけません。無理をせず、冬の運動は屋内で行うよう、徹底していきましょう!

TOP